本日はYahoo!ニュースの記事をピックアップして
話をしてみたいと思います。
2月17日の記事で
借金まみれの霜降り・粗品「未来の自分に金借りてるだけ」先輩芸人が絶賛したギャンブル観とは…
という記事がありました。
内容はこんな感じ。
1 ギャンブル好きで有名な「霜降り明星」の粗品は年収の1/3程の借金をしてギャンブルをしている
2 M-1王者になり年収が上がったことで、さらに借金が増えた
3 イベントやネタ前にも競馬をする等、相方も呆れている
4 「くりいむしちゅー」の有田は逆に絶賛
5 先輩に対して物怖じせずツッコミをする粗品の度胸を褒める人も多い
6 有田いわく「ギャンブルをやってるからこそ、強気のツッコミができる」
7 粗品いわく「今はギャンブルに負けてるのではなく、勝ってる途中。借金は増えているが、いずれ勝つためのプロセス。未来の自分に金を借りているだけ」
8 有田に「芸人としては最高」と褒められる一方、「乃木坂46」の白石麻衣は「同い年として借金がたくさんあるのはちょっと・・・もうちょっとしっかりしてほしい」と指摘。
2 M-1王者になり年収が上がったことで、さらに借金が増えた
3 イベントやネタ前にも競馬をする等、相方も呆れている
4 「くりいむしちゅー」の有田は逆に絶賛
5 先輩に対して物怖じせずツッコミをする粗品の度胸を褒める人も多い
6 有田いわく「ギャンブルをやってるからこそ、強気のツッコミができる」
7 粗品いわく「今はギャンブルに負けてるのではなく、勝ってる途中。借金は増えているが、いずれ勝つためのプロセス。未来の自分に金を借りているだけ」
8 有田に「芸人としては最高」と褒められる一方、「乃木坂46」の白石麻衣は「同い年として借金がたくさんあるのはちょっと・・・もうちょっとしっかりしてほしい」と指摘。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200217-00000201-spnannex-ent
お笑い芸人の霜降り明星・粗品は
強烈なキャラクターを持つボケ担当「せいや」にもヒケを取らないくらい
強烈な個性があり
それがギャンブル狂であることは有名です。
それを絵に書いたような記事ですよね。
この記事を見てどう感じるかは人それぞれですが
多くの人は
「ギャンブル狂は言ってることもやっぱり狂ってるなー」
「芸人らしい破天荒エピソードだな」
「せっかく優勝して売れっ子なんだから、博打せずに貯金したら良いのに」
などと思うことが多いのではないでしょうか。
白石麻衣も「しっかりしてほしい」って言ってますよね。
真っ当な意見だと思います。
ですが、銀行で勤める私からすると
白石麻衣の反応は
どうかなー
と思います。
貯蓄をしたらどうなるか
白石麻衣の「しっかりしてほしい」とは
要するに「若いのに借金して博打するなんて、先のこと考えてないの?」
ということですよね。
しっかりしてない=何も考えてない
から、博打のために借金なんかするんだと。
収入があるじゃないの、何考えてんの?
ってことです。
すごくまともな意見ですよね。
でも、そうでしょうかね。
では貯金したとしてみましょう。
M-1で優勝するという驚異的な成績を持つ霜降り明星。
2018年のM-1は出場組数4,640組。
まさにその頂点に立ったわけです。
もちろん、とてつもなく狭き門です。
優勝したことで、番組レギュラーやゲスト、CM等へのオファーが激増。
年間TV出演数増加数では、確か同年の中ではトップだったと記憶しています。
そんな霜降り明星、その「粗品」が、得た収入を貯金にまわすとどうなるか。
まず、お金に余裕が出るので借金をしなくなります。
借金をしなくなると、博打も依然と変わらない額の範囲になります
博打の額が一緒なのに、収入は多いので、博打の割合が下がります
「博打狂」というキャラが失われます
借金をしませんので、「M-1で優勝しても借金が増え続けている」というエピソードもなくなります
博打をしないので有田の言う「物怖じしないツッコミ」も無くなるかもしれません
せいやに比べ、キャラクターがなくなるので売れなくなります
収入が減ります
貯金できなくなります
どうでしょうか。
貯蓄はいいことか?
先ほどの例は、そこそこ極端ではあります。
粗品はトーク力や空気を読む力もあり
エピソードトークの組み立ても非常に上手です。
「すべらない話」では2回登板していますが
長尺ながら人を引き込む話術・構成力は本当に素晴らしいと思います。
自分は粗品の話、大好きです。
なので、キャラがなくなったところで
恐らく売れなくなることはないでしょう。
しかし芸人としての面白みが一つ失われることは間違いないでしょう。
粗品はおそらく、この
他人から見ての「面白み」
も計算に入れていると思います。
なので収入があるのに借金まみれ、という
場合によっては苦しい状況に身を置くことができるのです。
もちろん、単純に博打が好きだから借金している、という面もあると思いますが。
少なくとも白石麻衣の言う
「しっかりしてほしい」は
かなり的外れだな、と思います。
こういう見解をするのにも根拠があって
我々銀行業界の人間からすると
この
「借金=悪・危険」
「貯金=正義・安全」
という考え方。
めちゃめちゃ蔓延してます。
個人、法人(経営者)問わず。
銀行で働いてるから、「借金は良い」と言ってるわけではないです。
自分は、一応銀行を辞めようとしている人間ですから。
冷静な意見として、そう思うんです。
はっきりいいますが
ほとんどのお金持ち、成功者は
借金を上手に使います。
無借金経営でうまく経営している人はほとんどみたことがありません。
借金はレバレッジ
経営をしている人に
「お金を借りませんか」と提案するとこのような答えが返ってきます。
「返さないといけないでしょ?だから嫌」
「利子が高いから、もったいない」
「貯金でやりくりできるから要らない」
「返せなくなったときに困るから」
「子供の代にまで残ると嫌だから」
この返答が本当に多いです。
個人も含めて、こう思う人は多いんじゃないでしょうか。
ですが、この考え方は
「儲ける」「今より良い生活をする」ためには
全く間違った考え方と言えます。
なぜなら
貯金だけでできることは限られているからです。
生産を増やすために工場を建てようとしても
貯金だけしか使わないなら、貯金額までの建物しか建てられません。
投資をして儲けようと思っても
貯金だけしか使わないなら、貯金額までしか証券は購入できません。
1,000万円貯金していたとして
工場を建てようと思ったら
1,000万円は使えません。
従業員の給料を払ったり、電気代を払ったり、材料を買ったりする必要があるからです。
それらが300万円かかるとしたら
建てることのできる工場は700万円です。
ところが、1,000万円貯金していたとして
その通帳を持って銀行に融資を受けに行ったらどうか。
1,000万円あるから比較的安心ですので
銀行は融資を頑張ることができます。
そこで1,000万円の融資を受けられたとします。
すると、貯金も合わせて(担保になってるわけではないので、使ってOK)
1,700万円の工場を建てることができます。
この2つの工場。
どっちが大きくなると思いますか。
当然、工場を大きくした分、電気代がかかるとか
機械を増やさないととかもあります。
ここで言いたいのは
借金は「自分の持つ力以上のことに挑戦できる」
ということです。
投資も同じです。
レバレッジという言葉を聞いたことがあると思いますが
投資の世界では
持っているお金以上の運用をすることも可能です。
もし100万円を持っていて、1,000万円分の運用ができたら。
そしてそれが5%の運用役を出したら。
1,000万円×5%=50万円の利益です。
持っている本来のお金は100万円なので
100万円が150万円になったことになります。
つまり利回りは50%です。
今の時代の銀行貯金の金利は普通預金で約0.01%。
100万円預けて、1年で利息は100円です(税考慮せず)。
50万もらおうと思ったら
単純計算で5,000年かかります。
世の中の多くのお金持ちは
このレバレッジを利用して儲けます。
つまり、借金を馬鹿にしている、悪者扱いしている人は
儲けることがわかっていない人です。
損して得を取る
粗品の話に戻りましょう。
粗品は「未来の自分に金を借りている」と言っています。
つまり
博打でお金をスっているのではなく
投資だと。
いずれ儲けて「返す」んだと
言ってるんですね(多分)。
彼にとっては博打に負けることも
投資なんです。
こうやってネットニュースに取り上げられ
話題になり
また売れるわけですから。
ですが、博打をしていなければ
ニュースになることもなく、
売れることもなく
収入が増えることもなく
そして博打に勝つこともないわけです。
ということで
今回はYahoo!ニュースから
粗品の発言をピックアップし
銀行員の目線で考えてみました。
借金に対するイメージが少しでも変われば幸いです。
それでは。