部下の時間を奪う「悪い」上司

気づけばもう3月31日。多くの企業は決算を迎え、大忙しかと思います。

我々銀行も決算期で

またノルマの締め日でもあります。

いやー今期もキツかった。皆さんはいかがでしたか?

 

さて今回はそんな忙しい1日の中

上司に貴重な時間を奪われた出来事がありましたので

上司となるであろう皆さんに向けて

部下の貴重な時間を奪わないような指導方法をご紹介いたします。

書類の全体を見ずに指摘する

例えば、あなたが20Pの書類を作成したとします。

上司にチェックしてもらうため渡しました。

すると5分ほどして上司から「おい、Aくん。ちょっと」

呼ばれて行ってみますと

 

上司「1P目のここと2P目のここ、辻褄があってないよ。直して」

あなた「はい」

 

言われて修正。そして再度提出する。

するとまた上司から「Aくん、ちょっと」

 

行ってみますと

上司「5P目のここ、どういう意味?わかりにくいんだけど」

あなた(・・・・先言えよ・・・)

 

こういう経験多くないでしょうか。

書類を最初の方だけ指摘してきて、直してみたら今度は中盤の方を指摘してきて・・・

直すから一度で言えよと!

でも言えませんよね。間違ってるのはこっちですから、全部見てから言え、なんて言えない。

 

これ、上司がせっかちだからこうなるんです。

書類を順番にチェックしていって、気になった段階ですぐに部下を呼びつけるからこういうことになる。

 

上司がすべきことは、書類が序盤で間違っていても、全体を見てから間違いを指摘する。

指摘の順序は

①書類が伝えたいことが間違ってないか

②説明、組み立ての順番はおかしくないか

③計算間違い、誤字脱字

 

この順がチェックする上で重要です。まず①〜③まで一気に確認し間違いを全て指摘。

ここで、①は完璧にさせます。

その後修正案が出てきたら次は②〜③をチェック。

ここでは②を完璧にさせます。

そしてこの段階でもまだ誤字脱字があれば再度指摘。

 

こうすれば多くても3回で済みます。

実際は1回目の指摘で①と②を完璧にし、2回目の指摘で③を修正させるべきですが。

 

とりあえず、一度の指摘でできるだけたくさん修正させるということをできない上司が多い。

本人のやる気を削ぐだけでなく、上司も何度も確認しないといけなくなり効率が悪いです。

修正の精度も下がりやすい。

進捗管理の表を作らせる

営業業界ではつきものですが

ノルマの進捗がいまいちだと、上司は

①なぜ進捗が悪いのか

②どうやって成績を伸ばすのか

③今手持ちの案件は何があるのか

④手持ちの案件を成約するために何をするのか

 

こういったことを「紙やエクセル」に書かせようとします。

断言していいですが、余計に進捗が悪くなります。

 

そもそも進捗が悪いのは

①やる気がないか

②獲得の仕方がわかってないか

③波に乗れてないか

大体この辺です。

これらは、進捗管理では伸びません。

もし伸びることがあったのだとしたらそれは

「管理表で管理されているからやらないと」という緊張感からです。

表で管理できているわけではないです。①を刺激しているだけです。

 

トップの人は、何かと部下が行き詰まると管理表をつくったり

個別の案件ごとに状況と問題点を把握し、前に進めようとします。

でもそのやり方は「もともと獲得できる人の自己管理方法」なんです。

できる人が、「いつも自分でやってること」です。

 

このやりかたを、若手や女性に押し付けても、効果はでません。

「うっとおしいな」「表を作るのに余計時間とられるじゃないか」と反発心を煽るだけ。

 

大事なのは①やる気にさせる②獲得の仕方を判らせる③波に乗せる、です。

これに効果的なのが

成績を上げている人とタッグを組ませる

または一緒に営業してもらう

という方法。

一緒に行ってもらうことで、自分の時間を奪われずに上手な人の営業手法を学べます。

またその人の時間をもらってるということで「何とか頑張らないと」という気持ちにさせることができます。

そして、何度か繰り返すことが大事です。

1、2回でなく、定期的に。

本人がその人の真似をし始め、獲得できるまで続けます。

その時初めて、タッグを終えます。

 

先輩は時間を奪われるだけになってしまいますので、

きちんと人事考課で「部下の営業指導」としてしっかり評価することを事前に伝えておきます。

怒る時と叱る時、対処する時がごちゃごちゃ

例えば、今日中に処理しないといけない伝票があったが

伝票の書き方が間違っていて処理ができないというとき。

 

正しい対処は

①間違いの原因を調べる

②担当者に間違いの内容を伝え

③修正が今日中に可能か確認し

④早急に修正処理をさせ

⑤手続きが済んだら間違った原因を確認し

⑥原因となった理由について担当者を叱る、怒る

 

これが最も時間を有効に使った処置ですが

実際はこうはなってないことが多い。

実際は

①間違いが判明し原因を調べる

②担当者を呼びつけ、間違っていることを伝え、おろおろさせる

③間違った理由を問い詰め、萎縮させる

④対処方法を伝え、修正手続きに走らせる

⑤修正書類をもって手続きを終える

⑥間違った内容、原因を再度問い詰める

⑦その後の態度が露骨に悪くなる

 

特に、序盤で間違っていることを担当者に伝え

「なんでこんな書き方でもらってきたの?」

「ここに日付必要だと思った?」

など、まるで「お前はどんな思考回路をしてるんだ?」と言わんばかりの言い方で

指摘する上司が多い。

これをやると部下はやる気をなくし、自身も失います。

そもそもその指摘の時間はまったくの無駄です。

それより処理が最優先のはず。

 

そしてその後で「伝票を修正してもらえ」と言われても、本人はもう自己嫌悪でライフ0です。

その日1日、落ち着いて営業できるわけがありません。

 

もちろんミスした部下がもっとも悪いのですが

ミスをチェックし指摘し、修正させるのは上司の仕事。

ここで部下のやる気を削ぐ対処をしてしまっては、伝票をミスした部下と同レベルです。

特に、萎縮させると部下という者は、次にその人に質問したり相談したりすることが

極端に苦手になります。

こうなるとミスの隠蔽や書類の改竄といった悪事に発展する可能性が高まります。

 

それだけ指摘というのは重要です。

そして順序を踏んで指摘しないと、

その指摘を聞いている部下の時間

その指摘をしている上司の時間

両方が無駄に失われていきます。

 

 

気をつけてみてください。

それでは。

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