さて、一度は落ち着きを見せたコロナウイルスですが
ここ最近急激に猛威を見せ始めましたね。
東京では2、3日に一回は、1日あたりの感染者数を記録更新してます。
非常事態宣言もでて、我々個人の行動も、あまり軽率には行かない感じになってきました。
さて今回はコロナに関連する融資制度について。
我々銀行員の基本ともいえる、保証付融資の制度で
新たにコロナの影響が出た事業者向けの融資制度「セーフティネット保証4号」が作られたので
この融資制度の内容、必要な書類、工作方法をお伝えしたいと思います。
他にもセーフティネット5号、危機関連保証という類似した制度もありますので参考にしてみてください。
それでは行ってみましょう。
制度の趣旨
この制度「セーフティ保証4号」の趣旨は
”コロナの影響を受けた中小事業者の資金繰りの支援措置として、保証協会の一般保証枠と別枠で保証を利用することができる”
というもの。
簡単に言うと、コロナの影響でヤバイ事業者さんは、今回融資を受けられる可能性が高いですよ!
ということ。
「保証協会の一般保証枠と別枠」とありますが、これは
保証協会の保証付きの融資を目一杯借りていて、これ以上借りられないよ、っていうピンチのお客さんでも
今回ばかりは融資を受けられるチャンスがあるよ、ってことです。
そして保証率100%。
保証率とは、顧客が融資を返せなくなった時、保証協会が負担する割合のこと。
100%とは、顧客が融資を返せなくなったら、保証協会がまるまる損することを覚悟してますってこと。
これは銀行にとってとても魅力的。
通常、保証率80%とか、負担金あり(保証は100%してくれるが、事前に協会にお金を払わないといけない)みたいに
銀行に負担があるのが普通なんです。
ですがこの制度は銀行に負担がない。
これは銀行としても、とても安心(語弊がありますが)な融資というわけです。
制度の要件
この制度の指定地域は47都道府県。
制度の認定をする自治体は管轄市区町村。
認定要件は
①その市区町村で1年以上事業を継続して行っていること
②直近1ヶ月の売上高が、昨年同月と比して、20%以上下落していること。かつ、その後2ヶ月を含め計3ヶ月の売上の合計が、昨年同月3ヶ月の合計売上高に比して、20%下落することが見込まれること。
保証枠はいち事業者あたり2億8,000万円が上限。
この要件を簡単に言うと
まず各県でこの制度に申請することができます。
申請窓口は地元の金融機関から申し込みます。
この制度は、まずこの制度を利用したいと考えている事業者が、本当にコロナの影響を受けているかどうか
市区町村が資料をみて判断します。
そのために、金融機関を通じて、資料を提出しなければなりません。
その中で特に重要な項目が
①1年以上、地元で会社を続けている
②先月の売上が去年と比べて20%以上落ちている。そして今後2ヶ月も同じく20%は落ちそうだ
ここまで当てはまっている必要があるということです。
もうお分かりのとおり、②が最も重要で、最も難しいポイントです。
ここを説明するために提出する書類が次のとおり。
必要な提出書類
実は市区町村によって、必要な書類は若干異なります。
ですが、基本的には同じです。
①セーフティ4号認定申請書×2部(役場のHPで取得)
②売上高推移表(役場HP、もしくは自作)
③直近1ヶ月の売上がわかるもの(試算表、台帳、決算書など)
④1年以上事業を営んでいることが分かるもの(商業登記簿藤本など)
⑤委任状(役場HP、銀行員が代わりに提出手続きをする場合)
まずはネットで「○市 セーフティ4号」と検索し、HPを見つけましょう。
そこに「必要申請書類」というようなタイトルで書式が添付されているので全てコピーしましょう。
セーフティ4号申請書は、2部必要になるので注意です。
顧客と面談し、直近月の売上と昨年同月の売上を確認します。
「直近月」とは、例えば今が4月なら、「3月」のことです。
昨年同月比は「去年の3月」。
この2つを比較し、今年の3月の売上が20%以上下落していればOKということです。
注意して欲しいのは、ちゃんとした書類で数字を証明する必要があるということ。
法人であれば試算表、決算書、台帳。
これが出せない企業はありませんので、なければこの制度は諦めなければなりません。
個人事業主であれば、書類がない場合がありえます。「手書きでメモ程度にしか書類をつくってません」みたいな先。
こういう先の場合、市区町村によって、検討してくれるところとないところがあるので
市区町村の担当課に電話して確認しましょう。
私の管轄市区町村では「手書きのメモでも検討する」との回答でした。
コロナで大変な時期です、できるだけ協力したいということですね。
次に売上高推移表のとおりに、数字を埋めていきます。
これは20%の下落になっているということを数字で示すための書類です。
市区町村によって、この表が必要としている場合と、そうでない場合があるのでこれも確認しましょう。
今後2ヶ月の売上については、予想でOKです。
1年以上の事業を営んでることがわかるものについては法人の商業登記簿等本がベスト。
ネット取得でもOKです。
最後に委任状ですが
これは書類を市区町村に誰が持っていくかによります。
社長以外が持っていく場合、基本的に委任状が必要です。
例えば我々銀行員が書類を持ち込むなら
会社が申請者(書類手続きを頼む人)、銀行員が代理人(手続きを任された人)となり
委任状に住所と名前を書き、印鑑を押さなければなりません。
顧客に任せるより、自分で行った方が早いことが多いと思いますので
委任状をもらってさっさと行ったほうが良いでしょう。
注意点
この制度はあくまで、市区町村が「制度を適用して良いかを判断する」ための手続きです。
融資審査とは全く別ですので、顧客に勘違いをさせないように。
手続きの流れ
①コロナの影響があるかないかを聴取
②あれば、資金が必要かを聴取
③必要ならば、4号認定という制度があることを説明しチャレンジするか確認
④するならば、売上をチェック。2割以上下落しているかどうか確認
⑤落ちていれば基本的に制度OK。申請書類一式をコピーし、記入してもらう
⑥書類一式を、市区町村に持ち込み、認定を依頼
⑦後日、認定書を取りに行く
⑧保証協会保証付融資申込書を記入してもらい、認定書をつけて保証協会に送付する
⑨保証決定が下りれば、融資準備OK。
認定までに数日かかるので、時間に余裕を持っておくことが重要。
もし要件にはまりそうになかったら
最も難しい要件に売上高の下落率20%というのがありました。
これはかなりハードルの高い数値です。
普通、20%も売上が落ちたら、大変な事態だからです。
コロナなら、業種によってはありえますが
普通の業種ならこのハードルをクリアすることはかなり難しいです。
その場合、別の制度を利用することをお勧めします。
それが「セーフティ保証5号」。
こちらの要件は、売上高の下落率が5%で良いと言う、ナイスな要件となってます。
細かい内容についてはこちらに掲載していますので比較して確認ください。
コロナの影響で、無利子融資も出てくるようですがまだ地銀のほとんどが対応できない状態です。
その中で、このセーフティ4号融資は、コロナの影響のある顧客に有利に貸し出しできる制度なだけに
地銀同士で取り合いになることが想定されるものです。
制度の趣旨をいち早く理解し、担当として誰よりも先に制度提案し、融資案件を獲得しましょう。
それでは。