【焦りは禁物】失敗する経営者の心理

さて本日は
よくある「事業に失敗する経営者にありがちな考え方」について
一例を交えて紹介したいと思います。
 
銀行に勤めていると
経営に行き詰まる社長を数多く目にします。
 
行き詰まる理由は様々ですが
その中でも特徴として多いのが
「焦って方針を変える」
です。
 
この特徴は皆さんも「なんとな〜く良くなさそう」
とは思うでしょうが
なぜか多くの経営者がこの傾向になっていきます。
 
脱サラを目指す自分としても
今一度この傾向に陥らないよう整理する意味でも
整理してご紹介できればと思います。
 

嵐は突然やってくる

ある実在の会社を例にしましょう。
当然、企業情報ですので、経緯・事業内容等はアレンジしています。
 
 
A社はトレーニングジムを経営する会社。
地元であるZ市において
同業者はA社とB社のみという絶好の市場です。
 
自分のトレーニング経験、トレーナー資格を活かし創業を決意。
2017年に銀行借入によってスタートしました。
 
当初2年は、計画の80〜90%達成とまずまず。
会員数はあまり増えてはいませんが
なんとか維持できており、このまま3年目を迎えられようかという頃でした。
 
そして2019年。異変が発生
なんと当社から10km離れたところに
最新設備を備えた大きなジム:C社が完成したのです。
 
その頃から会員数は少しづつ減り始め
ついには、毎月預金を取り崩さなければならない赤字の状態に入っていきました。
 

気づいた時にはもう遅い

会員数の減少を抑え、毎月の収支を黒字に持っていくため
社長はパートのシフトを一人減らし
代わりに社長が出勤し業務に当たることにしました。
会員数を減らさないため、会費のキャンペーンを打ち出したり
TVやチラシへの宣伝を依頼したりもしました。
 
しかし会員数減少は止まらず
ついに銀行に対し
返済のストップを申し出ることになりました。
 
この会社は今でも
返済のストップをしたまま
少しづつ努力を続けています。
 

何がマズかったか

さてこの会社の問題は何だったのか。
 
ヒントを載せてないから分からないと思いますので
お答えします笑
 
1 自社のポジション作りができていなかった
2 慌てて方針転換した
3 非常時の対策を取れてなかった
 
以上です。
 
まず「1 自社のポジション作りができていなかった」。
 
これは前回の投稿でも書きました、
要は「A社のキャラクターがはっきりしていなかった」
ということです。
 
A社のトレーニングのレベルは中級。
Z市に存在する他同業社のレベルは
B社:中〜中上級
D社:初級
でした。
 
A社は中級であり、出店当時からB社とレベルがややカブってたんですね。
なので利用者からすると、
AでもBでも良かった
ってことです。
 
たまたま近いから
ちょっと安いから
雰囲気が好きだから
 
そんな理由でA社は会員を確保できていただけだったってことです。
 
そして、値段が安い初級者向けのC社ができたので
一気に利用者が流れた。
 
 
そして次の失敗が「2 慌てて方向転換した」。
 
キャラの話で言うと、
「キャラがブレた」状態です。
 
事業で失敗する典型パターンは
値段を下げる
品質を落とす
です。
 
当然です。
今まで利用していた人からしたら、ふざけた話ですし
これから利用しようとする人からしても、集客に困っているからそうしていることは
明らかです。
 
でもこのような行動に走ってしまう。
それは、「値段」で集客を左右できると勘違いしているからです。
 
 利用者を増やすために値段を下げる
→利用者一人当たりの売上が減ってしまうのでコストを減らそうとする
→従業員を減らす、シフトを減らす
→従業員が減るので、サービスが行き届かず質が悪くなる
利用者が減る
 
この悪循環に陥ります。
スタートが「利用者を増やす=値下げ」だと勘違いしているからです。
こうなるともう戻れません。
 
そして「3 非常時の対策を取れてなかった」。
 
非常時(銀行では使わない単語ですが)とは
毎月の収支が赤字になり、貯金を崩さないと給料が払えない状態
赤字が続き、従業員どころか電気代など経営に必須の費用も払えない状態
このような、いわゆるヤバイ状態を言います。
 
こうなると目先のお金をどうにかしないといけないので
新たに借りるか
自分の金や親族の金を入れるか
支払いを待ってもらうか
しかありません。
 
こうなる前の対策が必要ということです。
 
A社は返済を待ってもらう手段をとりましたが
これは最終手段です。
これをすると
もう銀行は新たにお金を貸してくれることは基本的になくなります。
 
こうなる前に、
借入を一度に返済できるだけの貯蓄、もしくは親族からの融通を受けておく
事業が好調な時に、運転資金を増やし、月々の返済額に余裕を持たせておく
積立等の地道な貯蓄をする
等、余裕資金を準備していくことが重要です。
 
特に定額貯蓄は重要です。
軽視する経営者が多いですが
「チリも積もれば〜」「気づいた時には〜」
というやつで
案外お金は溜まっていきます。
溜める気があるかの問題です。
 
基本的には毎月の入金日の翌日引き落としで定額貯蓄をすると
毎月の資金繰りを厳しい姿勢で行うことができます。
こうして自分に負荷をかけて、貯蓄という安全バッグを買うのです。
 

どうすべきだったか

事後なので何とでも言える話ではありますが
 
本来ならば
「中級」か「上級」のみで貫くべきだったと言えるでしょう。
なぜならC社の登場で「初級」層は奪われたわけですが
逆にいえば「中級」「上級」層はまだまだ存在していたということです。
 
なんでもそうですが、中級クラスになると
初級レベルでは満足できなくなります。
いずれ上級に、と上を目指したくなるもので
中級にとどまることはあっても
初級に戻ると言うことは少ないと言えます。
 
A社は中級を貫くことで
一時的なモノ珍しさでC社に流れた準中級者を
いずれA社に戻らせることはできたはずなのです。
 
実はC社が出てきたこの時、B社も焦りを感じており
初級レベルのメニューを加えるなどの行動に出ていたらしく
 
この時点でZ市には
「初級」「初〜中級」「クオリティの落ちた中級」
しか存在してなかったということです。
 
ここでもしA社がクオリティを維持し「中級」を極めていたら・・・
一時的な赤字に対し、しっかり貯蓄し対策できていたら・・・
 
いまでは違った結果が待っていたかもしれません。
 
 
 
以上、実際にあった事業者の事例を
業態や経緯をかなりアレンジしてお届けしました。
 
 
あなたの何かしらお役に立てれば幸いです。
 
それでは。
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